みなさん、大分県の銘菓「しきし餅」ってご存知ですか?

あー!懐かしい名前!って感じた人もいると思いますが、若い世代だと大分生まれでも知らないかも…?

どこの街にも名物となるお土産は沢山ありますので大分県に旅行へ来た方は色々と名物を買って帰ると思いますが、しきし餅があまり県外で知られていないのは精々2日程度と言う賞味期限の短さ故、お土産には適さないからでしょうか。

2日程度で腐敗するわけではありませんが、餅が固くなって食感を損なうと美味しくないので、作ったその日の内に食べるのが基本の生菓子です。

大分県に旅行に来て、運良く見付けた方は是非食べてみてください!

…と言いたいところですが、実は大分県民でさえこの名前を忘れるくらい、最近では全く見掛けなくなりました。

それが、年末に湯布院の方へ出掛けた際に偶然発見して即買いです!!

恐らく30代後半くらいまでならご存知だと思いますが、しきし餅は大分県内ではその辺の至る所で売っていて、いつでも気軽に買える程、非常にポピュラーなお菓子でした。

街中の和菓子屋さんはもちろん、洋菓子店までラインナップに加えていたり、給食のデザートとして出てきた事もあります。

それが、10年くらい前…?う~ん、一体いつ頃だろうか?

ある時期から、気が付けば全く見掛けなくなりましたよねえ?

たまたまお土産コーナーにいたおじいさんが「これは大分の名物だよ!今は県内でも1店舗しか作ってないの。」と教えてくれましたが、和菓子屋など今でも星の数ほどあるのに、はて…?と。

ちなみに、こちらがしきし餅です。

食べた後に気付きましたが、ラップを剥がしてから撮影すれば良かった…(笑)

よもぎの粒あんは初めてですが、やはり白い生地にこしあんが基本でしょう。

もち米ではなく粳米なので、歯切れが良く滑らかな食感です。

座布団をモチーフにしたお菓子で、中央に食紅で少し色付けされているのが特徴。

かつて県内に多数存在した物は、餅の角を塗ったり、線を描いたりとお店によってバリエーションは様々でした。

味はご想像の通り、かしわ餅の様な感じなので特別変わった味がするわけではありませんが、高級品ですので贈答用としては喜ばれます。

久しぶりに食べると、思い出補正もあると思いますが、やっぱり美味い!

しかし、どうして急に見掛けなくなったのだろうか…?

その疑問の答えはパッケージにありました。

そう、商標登録ってヤツです。

他のお店は作らないのではなく、作れなくなったと言うわけですね。。。

京都土産の八つ橋なんかは色々な会社からバンバン販売されていますが、大分のしきし餅は和菓子屋の「かとう」1店舗のみ。

昔からこの字が使われてたのかどうかは記憶にありませんが「志きし餅」で登録されている様ですね。

ただ、気になるのは前述した「八つ橋」は”既にお菓子の名前が一般化し過ぎている”等の理由で商標登録が出来ないそうで、前後にお店の名前や変わったフレーズなどを加えた固有名詞であれば、他人が勝手に使えない様に登録は可能だそうです。

だったら「しきし餅」が登録できたのは何故だ?と疑問に感じるところですが、持ち帰りのお土産には適さないと言う特性から全国的な認知度は低く、オリジナルである事が認められたと言う事でしょうか。

いずれにせよ、登録された以上は他の人が同じ名前を使う事は出来ませんし、類似する商品を紛らわしい名前で販売する事も出来ないので、急に見なくなった理由はこれで間違いなさそうです。。。

何だか残念な気もしますが、競争の激しい業界での生き残るためにブランド力を強化するのも権利ですから仕方がないですね。

ちなみに和菓子屋かとうでは、日持ちするお土産用の「お土産用志きし餅」と言う箱入り商品もラインナップしているそうです。

生地はオリジナルのしきし餅とは異なるので、事実上、全く別のお菓子だと思いますが、興味のある方はお店へ立ち寄ってみてください。